中国では、昔から、体を冷やす食べ物を“寒”、熱くする食べ物を“熱”というように、すべての食べ物を熱と寒に分類しています。熱と寒のバランスをとるという意味においては単純明解なものです。 しかし、食事として口に入るに至っては、何の調理もせず生のままで口に入るということはほとんどないといっても過言ではないでしょう。 そこで私たちは、中国古来の熱と寒の分類に更に調理法を組み合わせるということで、より実践的な食養生のメニューを作ることが出来ないものかと考えました。 それが世に言う“ 大和久式熱寒検査法 ”という訳です 一言で言えば、あるメニューに使った食品(野菜、肉、魚、調味料などすべて)の持つ熱と寒のポイントをすべて計算し、調理法を考慮して、メニュー全体が熱であるのか寒であるのかを、割り出す方法ということになります。 |
タイプ別 | (熱) | (平) | (寒) | |||
熱性の食材を好んで食べている人を 熱型タイプ=興奮的・亢進的・炎症的 高血圧、脳溢血、糖尿病、痛風等に罹りやすい。 寒性の食材を好んで食べている人を 寒型タイプ=萎縮的・衰退的・アトニー的 貧血、冷え性、低血圧、下痢等に罹りやすい 一般に 寒冷地域で採れる食材は、体を温めるものが多い。 熱帯地域で採れる食材は、体を冷やすものが多い。 |
梅干し 明太子 味噌 牛肉 日本酒 焼酎 タマネギ ニラ・ネギ にんにく 生姜 朝鮮人参 ニンジン カボチャ りんご 酢 サラダ油 菜種油 マヨネーズ 胡椒 カレー キビ ビール ウィスキー コーヒー キャベツ ブロッコリー |
+2 +2 +1 +1 +2 +3 +2 +2 +3 +2 +3 +1 +1 +2 +1 +1 +1 +4 +3 +1 +1 +3 +1 +1 +0.5 +0.5 |
チー 豚肉 たまご ご飯 山芋 ゴボウ 食パン 黒パン 大豆 ゴマ オリーブ油 ひまわり油 コーン油 イカ ホタテ貝 椎茸 カマス サツマイモ ジャガイモ 鮭 白菜 *魚介類は(平)が多い。 |
±0 | こんにゃく たくあん 醤油 馬肉 蓮根 玄米 蕎麦 粟 豆腐 ごま油 イチゴ サトイモ 納豆 牛乳・豆乳 紅花油 ハトムギ 白砂糖 お菓子類 ケーキ類 ウリ トマト レタス バナナ 西瓜 キュウリ レモン 柿 |
−1 −1 −1 −1 −1 −3 −1 −0.5 −1 −0.5 −1 −0.5 −1 −1 −1 −1 −1 微寒が 多い −1 −1 −1 −1 −2 −1 −2 −3 |
寒性献立 | 熱性献立 | ||
材料 | 計算式 | 材料 | 計算式 |
ハム | 25g*(−1)=−25 | 豚肉 | 25g*(0+2)=50 |
チーズ | 38g* 0 =0 | にんじん | 15g*(1+2)=45 |
きゅうり | 33g*(−1)=−33 | 玉ねぎ | 25g*(2+2)=0 |
レタス | 30g*(−1)=−30 | 竹の子 | 15g*(−2+2)=0 |
バター | 15g*(−1)=−15 | サラダ油 | 10g*(1+2)=30 |
食塩 | 0.3g*(−1)=−0.3 | 食塩 | 0.7g*(−1+2)=0.7 |
食パン | 60g*0=0 | 醤油 | 4.5g*(−1+2)=4.5 |
砂糖 | 0.3g*(−1+2)=0.3 | ||
日本酒 | 3.7g*(2+2)=14.8 | ||
合計熱寒値 | −103.3 | 合計熱寒値 | 245.3 |
次に加熱調理が加わった場合について御説明しましょう。加熱法には、煮る、焼く、炒める、揚げるがあります。
それぞれのポイントは、
煮る:+0.5 | 焼く:+1.0 | 炒める:+2.0 | 揚げる:+2.0 |
これらの数値は「補正値」といい、これをそれぞれの食品の熱寒の数値に加算すれば良い訳です。
例えば野菜炒めのなかの豚肉25gの場合、((炒める:+2)+(豚肉:0))×25g=+50となります。
このようにして算出した一日のポイント数をもとにその人にとってバランスがとれているかどうかを考慮していきます。
熱と寒のバランスのとれた食事とは朝、昼、晩のメニューの数値の合計が500〜600(男性は600〜700)程度の値を示すものです。
しかし、人によってその数値は異なり、例えば体が既に冷えてしまっている人は、600よりも値の高い食事が必要です。
このように、この検査法は体の熱寒としてのバランスをとるための指標を明確にするものなのです。
ゆとりが少ない現代人でも、この方法であれば、普段の食事の傾向を把握することさえ出来れば、いつもどういう工夫をすれば良いか、おおよその見当はつきます。
それだけ頭に入れておき、食事の時に思い出すだけですので、食養生としては決して難しいことではないと思います。
そこで今回は、食事についてどのようにチェックし、実生活に応用していけばよいのか、具体的な例をあげて説明することにしました。
この方法は、1日の食事、つまり朝食、昼食、夕食、間食についての熱寒指数をチェックし、1日の合計を出し、その数値がどのくらいになっているかを確認します。
この数値は、500〜600点(男性は600〜700点でこれを標準熱寒指数といいます。)であればベストな状態であるととらえます。
確認した数値がこの標準熱寒指数と比べて、高かったり低かったりしたときは、その差を埋めるような工夫をするということになります。
言い方を変えれば、1日のうちで熱性の高い食事を朝と昼にとっているとしたら、夕方には反対に寒性のメニューか、あるいは熱の度数の低いメニューを選び、1日の熱寒指数の合計が、標準熱寒指数に近くなるように工夫して食べるということになります。
『そんなことを言っても、食品の種類は数限りなくある。とても憶えられない、無理だよ』とおっしゃる方もあると思います。
しかし、実際のところ外食が中心になりがちな食生活になっている場合などは、どうしてもパターンが決まってくるものです。
当然、メニューの種類もそんなに多い訳がありません。自分が比較的口にする機会の多いメニューから把握していくというのは、そんなに難しいことではありません。
それでは、20代女性と50代男性の実例をもとに、熱寒指数の把握と改善への活用について説明しましょう。
20代女性のある日の食事内容
朝食 (+100) |
昼食 (−247) |
夕食 (+144) |
トースト2枚 (−14) マーガリン14g (0) 紅茶2杯 (+114) |
ご飯一膳(0) 漬物 (−67) ソーセージ100g(0) 烏龍茶 (−180) |
ご飯一膳(0) カボチャの煮物(+244) 味噌汁 (+80) 烏龍茶 (−180) |
若い女性に多く見られるわりとあっさりした内容のメニューです。
1日合計の熱寒指数は−3となり、標準熱寒指数に比べ、明らかに低すぎる数字になっています。
メニューの内容から昼食と夕食の時にとっているウーロン茶の合計が−360と、大きくバランスを崩す原因になっていることは一目瞭然です。
胃が弱い等の体質的条件はさておき、熱寒的にはウーロン茶の代わりにコーヒーや紅茶など温性の物をとるようにしてもらえば、1日の合計が+580くらいになりバランスがとれてくるのですが、なかなか改善に向けての行動が起こせないということでしたので、漢方の当帰芍薬散を使用することでバランスをとり、指導を続けたという例です。
50代男性のある日の食事内容
朝食 (+304) |
昼食 (+601) |
夕食 (+768) |
ご飯一膳 (0) 焼き魚 (+158) 魚の煮物(+66) 味噌汁 (+80) |
中華丼(+629) スープ(+39) 漬物 (−67) |
ご飯一膳 (0) こんにゃくの煮物(−72) 牛ステーキ(+207) ビール1本(+633) |
1日の合計指数は+1673で、標準熱寒指数に比べると1000点くらいオーバーしていることになります。
内容から、中華丼とビールが改善のポイントであることがはっきりとわかります。
この場合は、ビールをやめてもらったとしても、1000点を越えてしまう指数となってしまうので、昼食の中華丼も和風の弁当(例:シャケ弁+137、幕の内弁当+251)などにしてもらわないとバランスはとれません。
このような方の場合、ビールに中華ものが好物になっていることが多く、和風のメニューに変えるようにお話ししても、なかなか出来ないかも知れません。
しかし、その気にさえなってくれれば、メニューの選択を変えるだけですので、難しいことはないはずです。
このようにして人それぞれの食事が、熱寒的にどうなっているのかを簡単に調べることが出来ます。その結果から、食養生をしてもらう訳ですが、
人はそれぞれ事情もあり、なかなか修正できない場合もあります 。
このような時こそ、世の中に様々出ている 健康食品 を活用しない手はないでしょう。
例えば、ある男性の熱寒検査結果が、965ポイントだったとします。
標準熱寒指数(600〜700)に比べ、265(965−700)〜365(965−700)オーバーしています。
この場合、寒の性質を持つ健康食品、例えばクロレラ(−3.00)であれば、生クロレラとして88g(265/3)〜121g(365/3)とることでバランスをとることが可能となります。
機能性食品、健康食品の多くは、原料を乾燥したり、エキスとして抽出したりして作られます。当然、もとの状態に比べ熱寒指数は大きくなります。
クロレラの場合、粉末としての1gは自然界の生クロレラ5gに相当すると考えられます。
従って健康食品のクロレラ製品をのむ場合、
17.6g(=88g/5)から24.2g(=121g/5)が適量 となります。
このようにして『大和久式熱寒検査法』は、毎日の食事ばかりではなく健康食品、漢方薬、ビタミン剤等、日常継続して口にするものであれば、その考えを広げ、応用することが出来ます。
この文章は薬局新聞に連載された原稿をホームページ用に再編集したものです。
大和久式熱寒食事検査法は日本国において特許を賜りました。
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