【髪の毛と熱寒食養生】


【現代の傾向】

かつて、中年男性の特権であった“おつむ”の悩み・・・。
今では10代、20代の若者が“養毛剤”という言葉を口にする時代になってしまいました。
このような変化の原因の一つは、時代と共に変わる生活環境や、仕事場の環境にもあると思います。

例えば、10代。
どうしても、手軽なインスタント食品に手を延ばすことが多くなりますし、学校では、早朝から部活に励み、夜は夜で、おそくまで塾で勉学に励んだ後、ファーストフードのお店で一休み。
ようやくうちに戻り、大好きなカレーライスで空腹を満たす。
そしてこのような生活を続けているうちに、20代後半脱毛症予備軍が、出来上がっていくわけです。
20代後半でこのような状況に陥っている人は、1987年には約600万人存在し、増加の傾向にあるのだそうです。


【男女平等にはずみ?!】

現在、養毛剤愛用者の30%が女性であるというデータがあります。
女性にとっても髪の問題が深刻になっていることが伺えます。
養毛剤を使用している理由 は、
@髪に腰がない
A髪にふくらみがもてない
B柔らかいC抜け毛が多い
D髪が寝てしまう
E髪が細すぎる、の順に多いのだそうです。

“急増!!女性の髪が薄くなる” これは昨年7月6日の毎日新聞の夕刊一面の見出しです。
この記事によりますと額の生え際や頭頂部が突然薄くなる、いわゆる“男性型脱毛症”が、3〜4年ほど前から急増しているのだそうです。
悲しいかな若い女性の中で1番多いのがこの症状なのだそうです。
この症状は、いわゆる無理なダイエットによる栄養不足で薄毛になったり、ストレスのために起きた円形脱毛症とは全く違うものです。
その特徴はというと@生え際頭頂部が薄くなるA毛の太さが通常(直径約0.08mm)の半分ほどになるということです。

ちなみに、次に多いのは栄養を無視した無理なダイエットによる脱毛症なのだそうです。
“男性型脱毛症”の原因は、今のところはっきりとはわかっていないようです。
ただ、以前に比べ柔らかく丸みのある女性が減り、長身で筋肉質の女性が増えたこと(欧米化)、社会進出の機会が増え、社会が男性的女性を求め、女性もまた精神的にも外交的になっていることなどと、何らかの関係がありそうです。
こうした変化が原因となり、女性の体の中で、女性ホルモン、男性ホルモンのバランスが崩れているのかもしれない、などと言う説もあるようです。


【禿髪症について】

南山堂医学大辞典によれば、“禿髪症=脱毛症。毛髪が脱落して疎、または消失した状態をいう。”となっています。
これには老人性脱毛症をはじめ、これと本質的には同様ですが、若年・壮年期に発生したものを若年性脱毛症、壮年性脱毛症といいいます。
円形脱毛症では、境界鮮明な類円形脱毛巣がみられ、機械的原因で起こる機械性脱毛症、全身的原因があって、その部分症状として脱毛するものを、症候性脱毛症と呼んでいます。
脱毛症で病院を訪れる人たちの約70%は円形脱毛症なのだそうです。
その原因の多くは、精神的なものに起因する場合が多いのですが、この場合、原因が除去され、環境が整いさえすれば、放っておいても6〜7カ月で治るものなのだそうです。


【健康な髪の毛は健康な頭皮から】

健康な髪の毛の生える頭皮の条件とはいったいどういう条件なのでしょう。
髪の毛は頭皮に深く根差しているわけですから、頭皮の色で髪の毛の状態を知ることが出来ます。
健康な髪の毛の生えている頭皮の色は透明感のある青白色です。
この状態の頭皮からは、健康で弾力性のある髪の毛が生えるのです。これが老化を始めるとどうなるのでしょう。


【毛髪変化の3段階】

《第1期》 ごく初期の段階では、まだ髪の毛はふさふさした長毛の状態を保っており、頭皮も青白く、みずみずしくピーンと張っています。この段階では、頭がすぐにかゆくなり、フケがちょっと気になるという程度の自覚症状しかありません。

《第2期》 この段階に入ると、すでに頭皮は弾力を失って、黄褐色を帯びてきます。髪の毛は短毛となり、抜け毛も目立つようになってきます。フケや痒みはありますが、第3期に近付くにしたがってかえってフケも痒みもなくなってくるのが特徴です。

《第3期》 この段階に入ると、髪の毛はうぶ毛になり、全く長くならない状態になっていまいます。しかも、ごく細いうぶ毛ですから、事実上はいわゆる無毛状態になってしまっているわけです。

第3期では、頭皮は赤褐色を帯びてきて、弾力を失い、頭皮自体堅く、厚ぼったいような感じになってきます。もはやフケは出ず、痒いということもほとんどなくなってしまいます。

以上が、髪の老化の3段階ですが、 脱毛症を予防するため には 、遅くとも、老化の第1期の時点で手を打つのがベストといえます。
すなわち、“ フケがちょっと気になる ”、“ どうも頭がすぐ痒くなる ”という状態が出始めたら、即、出来る努力を始めるべきでしょう。


【体質別熱寒養生法】

寒タイプの脱毛に海草類は逆効果

脱毛が、頭皮の血行不良によるという点においては、熱タイプも寒タイプも同じです。
ホルモン支配の問題もありますが、ここでは熱寒的に見つめてみることにしましょう。

現代の食生活の傾向から考えると、恐らく 熱タイプの脱毛症 の方が、多いのではないかと考えられます。
このタイプの場合、唐辛子など、熱の傾向のものが沢山入った養毛剤は向きません。どちらかというと、鬱血を取り除き、血熱を冷ます方向に向ける必要がありますからセンブリ、黄連、黄柏、オウゴン、山梔子など“寒”の作用のある成分が入っているものが適していることになります。

さて、 女性の場合 について考えてみますと、性質としては“寒”タイプが多いのではと予想されます。
その場合は、先程とは反対に、“温”の性質を持つ唐辛子などが入った物を使う方が良いということになります。
ところで、昔から、髪には海藻がよいと言われていますが、海藻類は大方、“寒”の性質を持っていますから、寒タイプの人が大量に食べるというのはかえって良くないということになりますのでご注意ください。

《まめづくしサラダ》(寒タイプ用)

白インゲン豆(水煮缶) 40g× (+0.5 )= +20
赤インゲン豆(水煮缶) 40g× (+0.5)= +20
玉葱(ゆでる) 25g×(+2+0.5 )=+62.5
0.5g× (-1)= -0.5
コショウ 0.2g× (+4)= +0.8
マスタード 0.2g × (+4)= +0.8
ワインビネガー 8g× (+2)= +16
サラダ油 3g× (+1)= +3
熱寒値合計 +122

《シーフードサラダ》(熱タイプ用)

ズワイガニ肉 50g× (-1)= -50
きゅうり 50g× (-1)= -50
トマト 50g× (-1)= -50
わかめ 100g× (-1)= -100
カイワレ大根 10g× (±0)= +0
レタス 30g× (-1)= -30
帆立て貝(ボイル) 20g × (±0)= +0
和風ドレッシング 16g× (+1)= +16
熱寒値合計 −264

【抜け毛を予防するには】

髪の毛の成分の基本になっているのは、“ケラチン”という蛋白質です。
抜け毛予防のポイントは頭皮の血行を良くすることと、動物性蛋白質(肉、魚)、コレステロールの含量が多いものを上手に摂ることです。
栄養素的には、レシチン、ビタミンB群、E群に注目したいところです。
卵黄、チーズ、鶏のささ身、さんま、納豆、海老、烏賊、鮹、ウニ、うなぎ・・・。その他、レバー、ほうれんそう、海藻やきのこなど、かたよりなく出来るだけ多くの食品から、色々な栄養素を摂るように心がけることが大切です。
良いからといってそればかり食べるのはよくありません。
この点は何についても同様なので今更言う必要はないのかも知れませんね。


この文章は薬局新聞に連載された原稿をホームページ用に再編集したものです。

大和久式熱寒食事検査法は日本国において特許を賜りました。


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